日本での当社の活動は、1920年にアメリカ・カリフォルニア州からの最初のホウ酸塩の出荷が始まったときに遡ります。
世界が必要とする素材を、責任ある形で提供する
September-October 2025
プライメタルズテクノロジーズ(三菱重工グループ)は、リオティントおよびオーストリアの鉄鋼技術グループのフェストアルピーネと共同で、水素を活用した革新的な製鉄技術の実証プラント建設を開始しました。建設地はフェストアルピーネのリンツ拠点で、稼働開始は2027年末を予定しています。 このプロジェクトでは、鉄鉱石を水素で直接還元するHYFOR技術と、製鉄用電気製錬炉(スメルター)を組み合わせた新しい製鉄プロセスを導入します。従来の高炉製鉄に比べてCO₂排出量を大幅に削減できる可能性があり、ネットゼロの実現を目指します。 リオティントは、同プラントで使用される鉄鉱石の約70%を世界各地の事業拠点から供給します。鉄鉱石の品質や処理に関する専門知識を活かし、技術的な助言や商業化の加速にも貢献します。この取り組みは、鉄鋼業界の脱炭素化に向けた重要な一歩であり、持続可能な未来に向けた国際的なパートナーシップの好例です。プライメタルズテクノロジーズは、共同出資者として三菱商事と戦略的パートナーシップを結んでいます。
リオティントは、オーストラリアでの高品質なカーボンクレジット(ACCUs)創出を目指し、CEFC(豪州クリーンエネルギー金融公社)およびLa Caisse(旧CDPQ)が立ち上げた農業・自然資本プラットフォーム「Meldora」にACCUsのオフテイカーとして参画しました。総額2億5千万豪ドルのこのプロジェクトは、クイーンズランド州中央部の1万5千ヘクタール超の農地を取得し、持続可能な農業と環境植林を組み合わせてACCUsを創出します。 環境植林手法では、原生植物を植林し、25年から最大100年にわたり維持することで炭素隔離効果と生物多様性の向上が期待されます。リオティントは、発行されるACCUsの一部を長期契約で購入することで、自然ベースの気候対策を支援します。 この取り組みは、農業の競争力を維持しながら、持続可能な土地利用と炭素市場の成長を促進するものです。La CaisseやCEFCは、自然資本への長期投資としての価値を強調しており、リオティントも高品質なカーボンクレジットへのアクセスを通じて、ネットゼロ社会への移行を加速させる考えです。
リオティントは、中国国家電力投資公司(SPIC)Qiyuanと協力し、モンゴルのオユトルゴイ銅鉱山にてバッテリー交換式電動鉱山用トラックの試験運用を開始しました。リオティントが露天採掘でバッテリー交換式電動トラックを導入する初の試みであり、鉱山運搬車両による排出量削減に向けた重要なステップです。 今回導入されたのは、91トン積載のTonly製トラック8台と、800kWhのバッテリー13基、そしてバッテリー交換ステーション、充電設備などのインフラ一式です。バッテリー交換はわずか7分で完了し、充電による待機時間を大幅に削減できます。トラックは鉱滓ダムの建設や表土の運搬に使用され、リオティントはこの運用を通じて、設備の維持管理や技術的知見を蓄積します。中国の先進的なバッテリー交換技術を活用することで、低炭素イノベーションの加速を図る重要なマイルストーンとなります。 この試験は2026年末まで継続される予定で、リオティントが保有する約700台の運搬トラックのうち、100台の小・中型車両(100〜200トン積載)への技術展開の可能性も探ります。
リオティントは、カナダ成長基金(CGF)と共同で、ケベック州ソレルトレイシーの重要鉱物・冶金コンプレックスに建設中の施設において、酸化スカンジウムの生産拡大に向けた投資契約を締結しました。CGFは約2,500万加ドルを投じて北米唯一のスカンジウム供給施設の年産能力を9トンに拡大し、カナダの重要鉱物サプライチェーンの強化を図ります。 スカンジウムは、高性能アルミニウム合金や固体酸化物型燃料電池などに不可欠な希少金属で、電動化や脱炭素化、高性能材料の需要拡大に伴い、戦略的重要性が高まっています。現在、世界の精製スカンジウムの大半は中国が生産しており、リオティントの実証プラント(2022年稼働)は、OECD諸国で数少ない供給源の一つです。 このプロジェクトでは、リオティントの研究者がカナダで開発した革新的な製造プロセスを採用し、当社が保有するカナダの鉱山・冶金施設を活用します。これにより、北米における安定かつ持続可能なスカンジウム供給体制の確立を目指します。