日本での当社の活動は、1920年にアメリカ・カリフォルニア州からの最初のホウ酸塩の出荷が始まったときに遡ります。
世界が必要とする素材を、責任ある形で提供する
1869年、スペイン政府はリオティント鉱山を売却することを決定しました。1871年、ヨーロッパ中の新聞に売却の広告を出したところ、4件のオファーがありました。その中で、ロンドンの銀行頭取であったスコットランド人のヒュー・マシスンが率いる実業家グループが最高のオファーを出し、1873年3月29日、マシスンを会長とするリオティントがロンドンで登記されました。
当時、マシスン会長はロンドンの金融街で最も有名な人物の一人でした。しかし、鉱山買収の機会を彼にもたらしたのは、その時すでにスペインの鉱山に権益を持っていたハインリッヒ・ドイッチュと実業家のヴィルヘルム・サンドハイムという技術者たちでした。彼らは、新しい技術的手法を使えば、この鉱山の経済的な採掘が可能になるとマシスンを説得しました。かつて古代ギリシャ人とローマ人に資源を供給していたのこの鉱山はこのチームが新たな処理施設を建設し新技術を導入したことにより、国際的なサクセスストーリーとなりました。
鉄鉱石の埋蔵量を調査するために、地質学者たちはフィールド・テーブルとハンマーだけで西オーストラリア州のハマスレー山脈に出発しました。その後わずか 18 か月で、約 300 キロメートルの鉄道を敷設、1,200 万立方メートルの土と岩が搬出され、鉄鉱石の生産に必要な設備が整えられました。
1965年に日本の製鉄各社と鉄鉱石供給に関する趣意書(LOI)を締結し、1966年8月に日本の八幡製鉄所(現在の日本製鉄)に向けて鉄鉱石を初出荷しました。
これは、オーストラリアと日本との長年にわたる貿易パートナーシップの始まりであり、当社の鉄鉱石事業の始まりでもあります。現在、当社は17の鉄鉱石鉱山、4つの独立した港湾ターミナル、画期的な自動運転 AutoHaul™を含む約2,000キロメートルの鉄道ネットワークからなる世界有数の統合ネットワークを所有しています。
1872年にホウ酸塩鉱床が発見されたカリフォルニアのデスバレーにそのルーツをたどるU.S.Boraxを買収し、ポートフォリオに新たな重要な素材が追加されました。現在では毎年約300万トンのホウ酸塩鉱石を採掘しており、世界に供給される精製ホウ酸塩製品のほぼ半分を生産しています。
リオティントの前身会社が管理するアシュトン・ジョイント・ベンチャーが、西オーストラリアの人里離れた地域でアーガイル・ダイヤモンドを発見。一夜にしてカラー ダイヤモンドの世界の生産量を倍増させ世界最大の生産者となりました。希少なピンク、レッド、バイオレット・ダイヤモンドのほぼ全てを供給したこの鉱山は、2020年に閉山しました。
コマルコ, カイザーアルミ、住友軽金属、神戸製鋼所、三菱商事、吉田工業(YKK)、住友アルミニウム製錬の協業でクイーンズランド州 最初のアルミニウム製錬所としてBoyne Smelters が操業を開始しました。
現在は、リオティント (59.39%), YKK AP (9.50%), UACJ Australia (9.29%), Southern Cross Aluminium (7.71%), Ryowa Development II (6.46%), Ryowa Development (5.19%) 、住友化学 (2.46%)で運営しています。
BSLはオーストラリアで最大のアルミ缶リサイクル施設として廃棄物を再利用し、循環型経済に貢献しています。
リオティントが30%の権益を持つエスコンディダ銅プロジェクトに日本のパートナー(三菱商事、三菱マテリアル、JX金属(日鉱金属))が参画し、国際協力銀行(JBIC)のプロジェクトファイナンスを提供を受け、始動しました。
長年にわたる探査と掘削の後、今日のターコイズ・ヒル・リソーシズの一部であるアイバンホー・マインニング・モンゴリアIncは、モンゴルのゴビ砂漠にあるオユトルゴイで銅と金の複合鉱床を初めて発見しました。何年にもわたる探査により、世界最大規模の鉱床であることが明らかになりました。 オユトルゴイでは2011年に露天掘りが始まり、2013年にはモンゴル史上最大の工業設備で鉱石処理プラントが稼働し、銅精鉱の処理が開始されました。 現在、モンゴル政府が34%、リオティントが66%を共同所有し、リオティントが操業しているこの銅鉱山は、2023年3月に本格稼働を開始した地下鉱区の採掘山がフル操業に達すると、世界で4番目に大きな銅鉱山となります。
Diavik でのダイヤモンドの最初の生産
リオティントは、カナダのノースウェスト準州にある北極圏の約200キロメートル下のダイアヴィク・ダイヤモンド鉱山で商業生産を開始します。2017年にはカナダで記録された最大の宝石品質のダイヤモンド原石Diavik Foxfireが発掘されました。20億年前の187.7カラットのダイヤモンドは、33.74mm x 54.56mm の大きさで、その名前は、発光するオーロラを”空中のフォックステールのブラシ”と表現するカナダの民間伝承の言葉に由来しています。
リオティント は2008年、業界でいち早く自動化などの次世代技術を活用し、より安全で効率的、かつ生産コストの低いオペレーションを実現するため、先駆的な「Mine of the Future™」プログラムを開始しました。同プログラムの鍵となるコマツの無人ダンプトラック運行システムは、トライアルの後、大規模導入を果たしました。このシステムでは、無人トラックがあらかじめ設定されたGPSコースを利用し、鉱山現場の運搬道を走行します。すべての車両の現在地、速度、進行方向は監視システムにより常時管理されています。現在もピルバラでは多くの無人ダンプトラックが活躍し、現場の生産性を向上させています。また、無人化することにより、トラック運転手や重機周辺で働く人々の危険リスクをも軽減しています。
このプログラムは、科学、技術、イノベーションに関わる分野で、二国間の共同研究やその他の産学協働を促進することで、日豪間の相互理解を深める活動を支援することを目的として開始しました。
2018年から3年間にわたり、二種類の主要温室効果ガスを回収し、有用な化学物質に変換する新たな技術の開発を通じて、地球温暖化問題に取り組む東京大学大学院とオーストラリアのクイーンズランド大学の共同プロジェクトや、東北大学とオーストラリア国立大学の、低炭素排出の脱塩法で海水の淡水化を実現するためのプロジェクトなどを支援しました。
リオティントのアルミニウム製錬事業の大きな特徴として、カナダやニュージーランド、アイスランドで豊富な水力電源を保有または長期の電力契約を持っており、そのため事業で利用するエネルギーの約8割が再生可能なエネルギーとなっています。2016年、アルミニウム1トンあたりのカーボンフットプリントを4トンCO2e以下で保証する、世界初の第三者認証付き低炭素アルミニウムブランド、RenewAl™の供給を開始しました。4トンCO2eは世界平均と比べ約66%も低い水準です。日本はアルミ新地金を100%海外から輸入しており、ユーザーにとって、輸入されるアルミ原料をより低炭素なものに転換する選択肢となっています。
2018年、リオティントは日立レールSTSとの協創で重量貨物輸送システム「AutoHaul™」を開発し、世界初となる無人貨物列車の走行を実現しました。西オーストラリア州ピルバラ地区の17の鉱山と港湾施設をつなぐ総延長およそ2,000kmにもわたる鉄道網。1日で約100万トンの鉄鉱石を輸送するAutoHaul™鉄道自動運行システムは、パースにあるオペレーションセンターで管理されています。 これにより、列車の運行時間と運転士の移動距離が削減されるとともに、より高い安全性や業務効率の改善を実現しました。
リオティントと日本製鉄は2020年、炭素排出の少ない鉄のバリューチェーンへの移行に向けた技術の探索、開発、実証を共同で行うための覚書を締結しました。鉄鉱石の採掘から製鉄までの鉄のバリューチェーン全体で脱炭素化に向けた技術を幅広く検討し、リオティント鉄鉱石処理技術と日本製鉄の製鉄技術を統合して炭素排出を低減した革新的な鉄鋼製造プロセスの確立を目指しています。2023年2月にはこの取り組みの一環として、LNG燃料船で西オーストラリア州ピルバラから日本製鉄へ鉄鉱石を届ける初の試みを実施しました。
リオティントは透明性のある脱炭素化の取り組みを主導するために環境省が設立した「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 脱炭素経営促進ネットワーク」(GVCネットワーク)に参加しました。GVCネットワークは2018年に結成され、再生可能エネルギー、省エネルギー、エネルギー貯蔵に関連するソリューションを共有しています。リオティントは、自社のバリューチェーン排出(スコープ3)の88%を占める中国、日本、韓国で進めるパートナーシップを含めたアプローチを示すための、測定可能で影響度の大きいスコープ3排出の削減に取組んでいます。
2021年、リオティントが西オーストラリア州ピルバラ地区から日本に向けて出荷した鉄鉱石が累計20億トンに到達しました。20億トンの鉄鉱石から作られる鉄の量は約12億トン。これは、日本一高い建造物である東京スカイツリーであれば3万基、オーストラリア、シドニーのハーバーブリッジであれば25,000基を建設することができる量です。日本はリオティントにとって重要な市場であり続けています。日本向け鉄鉱石出荷通算20億トンとは単なる数値上の到達点ではなく、リオティントと日本の長きにわたる相互信頼とパートナーシップのあかしです。
リオティントは、北海道大学大学院工学院と九州大学大学院工学府が共同で設立した、資源系人材育成の教育システムを強化、充実させることを目的とする「資源系教育コンソーシアム」に参画しました。